英語のできる人

 こういう言葉を聞いたことがある。
「英語のできる人はキライだよ。だって英語のできる人は英語のできない人を
バカにしてるでしょ。」・・まったくのヒガミかもしれません。

 そんなこといったら
「パソコンのできる人はキライだよ。だってパソコンのできる人はパソコンの
できない人をバカにしてるでしょ。」

 英語が出来なくても、日本ではほとんど困らない。しかしパソコンができな
いと困ることがある。最近の旅行予約は個人でやるならパソコンでやるか、旅行
代理店で代行してもらうしかない。ネット通販のみの商品も結構多い。さて、パ
ソコンの出来ないお年寄りは、ハルツハイマーに効くらしいということで今人気
の「ココナッツオイル」を買おうとしても、品薄で店頭にはなく、ネット通販に
頼らざるを得ない。英語ができる人が通訳でメシを食っていけるようにパソコンの
できる人はお年寄りを相手にネット通販代行しますという商売もアリとなる。
このページを読んでいる方ならたぶん貴方はパソコンのできる方でしょう。
 老後の小銭稼ぎ商売ができるかもしれません。

 さて、なぜ日本人が英語ができないかというと、日本にいて、日本語だけで
ほとんど用が足りてしまうからである。学生のころ英語の他に第2外国語として
ドイツ語を選んだ。当時は医者はだいたいドイツ語ができるということになって
いた。つまり当時の最先端の医療技術がドイツ発信だったからでしょう。新しい
ドイツ語の論文から技術を勉強したのである。しかし最近では、お医者さまでも
ほとんどが英語になっており、ドイツ語が堪能の医者を小生のまわりでは見た
ことがない。つまり技術の中心が米国なり英語圏に移って行ったということである。
 現在最先端の科学技術などは、英語か日本語である。そして必要であればほと
んど日本語に翻訳された文献として入手できるのだ。小国であれば、自国語に
翻訳された文献は乏しく、英語などの自国語以外の論文を我慢して読むしかない。

 日本語は漢字かな交じりで他国の人からみれば難しいと思われる。覚える漢字
も多数ある。かといって全部覚えなくてもある程度理解はできる。外国の言葉は
カタカナにそのまま表記してしまう。漢字まじりというのがいい。意外と大切な
のは日本語を使っている人は先進国の中で1億2千万人もいるのだ。しかも当然
の様に話し読み書きが全員できるのは本当にすごいことなのである。

例えば次の文章があったとする。

(1) 西の空が茜色に染まり始めたころ、無数のトンボが草原を横切って行った。

 どうということのない文章である。しかしさっと読んでたぶん2秒間で頭に
絵が浮かんでいると思います。

(2) にしのそらがあかねいろにそまりはじめたころ、むすうのとんぼがそうげんを
よこぎっていった。

 漢字がないと小学1年生ならともかく、いやでしょうこんなの。

 例えば日本人はあまり利口ではないので漢字はムリだ、したがってひらがな50
音だけなら簡単だし、難しいと言われる漢字はもうやめましょうとしたら・・
日本語は(2)になってしまう。これでは微妙な機微を表現することはできない。
ますますバカ民族になるに決まっている。これが文化や伝統を破壊する一例である。

 どのような理由か知らないが漢字を捨ててしまった国があります。いつも(2)
のような文章を相手にしていたら、複雑な気持ちを表現する言葉が見当たらず、
急に怒り出したくなる理由も分からないではない。

人と「会う」「逢う」の微妙な違い「おもてなし」と「お・も・て・な・し」を
日本人は読み分け理解しているのです。英語なら「LOVE」がラヴであり
「L・O・V・E」がエルオーブィイーにしかならず、埋めることのできない溝が
ある。
 例えば公文書を英語にするとか、会社内の会議は英語にするとか、絶対阻止だね。

 夏になれば、いやでも庭に雑草が繁茂する。面倒な草むしり。しかし砂漠の国なら
どうだろう。喉から手が出るほどうらやましいのではないか。これは日本の既得権益
である。これを守って何が悪い。漢字かな交じりで、目でさっとたどっただけで高速
にイメージとニュアンスがインプットできる日本語。さらに外国の人は容易に習得
できない。これも既得権益であり、外国人への障壁でもある。これを捨てるバカは
いない。