プロレスと格闘技色々

 以前大晦日には、紅白に対抗するような総合格闘技ビッグマッチがあったが、最近ではあったとし
てもテレビ中継がないので、往時の盛り上がりはなくなってしまった。理由は色々だが、一つは
フジテレビからK−1の中継が無くなったのが効いた。当時K−1とか、その他の総合格闘技運営
会社がいわゆる反社会勢力組織と関係があるとか無いとかで、テレビから消えてしまったのだ。

 それともう一つは、総合格闘技の試合そのものがワンパンチかキックであっという間に勝敗が
ついてしまうか、あるいは組み合った時にはマウントポジションからパンチとディフェンスでどちら
も防御を完璧にこなすため、こう着すると見ていて単調になる。また色々な選手の組み合わせでも
結局同じような展開で飽きてしまうのだ。
 命がけの選手には本当に申し訳ないところだが、プロレスの場合はロープブレイクがあり、ここ
で展開を一度リセットするため単調さによる飽きをうまく防いでいるといえる。

 総合格闘技は当初はバーリトゥード(何でもあり)からきており、プロレスラーより本当に強いの
は誰だ、という動機から来ている。当時名のあるプロレスラーが次々と倒され、プロレス界に大いな
る危機感が湧き上がっていた。1993年の最初のアルティメット大会から22年経った現在では、
日本では新日本プロレスは好調でも、総合格闘技はいまひとつである。
 さて、ノールールでなんでもありといいながら、暗黙ではあってもルールがある。たとえば目を
突く、金的への攻撃などである。プロレスでは指を1本か2本かを取って折り曲げるなどは反則である。
ある大会では、ルールは各選手のプライドである、ということもあった。

 さて8.15の敗戦記念日がやってくる。戦争にルールがあるのか、攻撃すべきは軍事施設か町か
一般国民か・・じつはルールはあるのだ。国際条約で決まっている。

 終戦時を格闘技の実況に例えるとこうなる

 激しい戦いも、すでに終盤に入り日本チームはほとんどスタミナがなくなっております。
 米国チームもかなりダメージを食らっていますが、リングサイドからの順調な補給でまだまだ
戦える余裕を残しています。南の島を一本ずつ落としていよいよ沖縄あたりで猛攻だ。日本チーム
も必死で応戦、今まで見たこともない歴史に残る激しい戦いです。日本チームはリングに
倒れ、なかなか起き上がれません。タオルか・・いやまだです。日本チームはもうボロボロの状態
ですが眼だけは爛々と米国チームをにらみつけております。

 あーっと、これはいけません。倒れている日本の選手の金的を蹴り上げました。(東京大空襲で
一般人の虐殺)日本選手は口から泡を吹いて動けなくなりました。しかし必死の形相で米国選手に
食らい付いて戦う意欲を見せています。

 あーっ、これはなんだー!、見たこともない大技、最終兵器かーっ!、長崎広島がぶっ飛んだー。
日本選手の片目がつぶされたー。さらに米国選手は残忍にも残りの目もつぶそうとしているーっ!
 カンカンカンカン、ゴングです。日本選手ギブアップです。ポツダム宣言受け入れたー!8.15

 おやおや、仲間割れでしょうか、チームメイトが倒れている日本選手に激しくストンピング、
なんと、日本チームだったカン選手は米国チームのコーナーに行き自分を勝ったチームに入れてくれ
とアッピールしております。一緒に戦ったチームメイトが使えなくなったら、すぐに寝返るお得意の
展開だー!
 あー、やはり、米国チームは仲間入りを拒否。これは当然でしょう。カン選手、すでにリングを
おりて、控室に消えました。

 さて、解説の遠藤さん、最後の金的やあの見たこともない大技は相手が一般市民ということで、完全
に反則ですよね。この場合、無効試合とか、没収試合にならないのですか? 完全に反則でしょ。
 
 あれあれ、米国人のレフェリー レッドシューズがでてきました。米国チームの勝利宣言です。
日本コーナーから抗議してますが、ほとんどが米国よりのレフェリー、抗議しているのは2人だけです。
全く取り合ってもらえません。

「これはいけません。こんなことあっていいのかー!」
「米国チーム、反則で勝って、それでうれしいのかー!」

実況アナの声はむなしくリングに消えていったのだった。

「ところで、遠藤さんこの凄惨なマッチメークはどこの会社が企画したんですか?」

「これはね、つまりね、お互いに戦おうという風に流れというか、空気が作られてね。それで
両方の国民の応援がすごいことになって、もう選手があとに引けない状態になってしまったのですよ。」
「でね、日米が戦ってお互いにボロボロになれば自分が有利になるという、虎視眈々と世界征服を
狙っている選手がいるんです。」

「その選手とはいったい誰ですか?」

「ロシアの怪物スターリンです。この選手は実力はそこそこなのですが、なんといってもインサイドワー
クがうまいんです。日本と米国両方にスパイを巧みに送り込んでどうしても戦うように仕向けたんです
な。」
「それとね、スターリン選手のすぐ脇で、大暴れしてるヒトラー選手がいてこれにも手を焼いていた、
なんとしても日米の力を削いでおかなければならないという力学が働くわけですな。
実際はこの乱暴者が ぐいぐい攻め込んでる状態で、もうシャレにならないんですよ。」

「じゃ、影のマッチメーカーはスターリン選手ですか?」

「まあ、そうとも言えますが、それに乗っかった方も悪いと思いますね。」
「いわゆる閉塞感というやつですかね。もしね、双方の国が経済的に絶好調だったら、金儲けに忙し
くて、そんなイカサマ師の話なんか乗らないわけですよ。ところがちょうどデフレで経済的な閉塞感が
あって、何か国民の中に鬱屈したものがたまって、噴出したともいえますな。」

「遠藤幸吉さん、解説ありがとうございました。」


先の大戦で亡くなったすべての方にご冥福を祈ります。
我々は堂々と誇り高く生きていきます。見守っていてください。