デフレ対策について

 政府は2%のインフレターゲットの目標を掲げている。つまり年に2%程度の
物価上昇を期待しているわけであるが、これがなかなか達成できない。達成でき
ないどころかマイナスになっている。日銀にどんどんお金を刷らせても使ってナ
ンボのところを緊縮財政なので、市中に金は流れない。お金パワーを上げるたびに
大リーグボール養成ギプスのバネを強化しているようで、結局パワーが出せずじ
まいだ。

 なぜ、こうなのかというと前にも書いたがなんでも「安く」買いたいというこ
とがもはや宗教の原理主義のようにしみこんでいるからである。見積もりを取って
一番安いところで買う、きわめて合理的ではある。そのため業者はいつもギリギリ
の価格で時には赤字で努力する。業者はいつもガマン比べの中でアブラ汗を流し
ている状態である。価格競争で頑張っている会社はほとんどブラック企業といっ
ていいかもしれない。

 一番強い奴はどいつだ「出てこいやー」と王様が呼びかけ、世界の強者を戦わ
せて褒美を遣わす。選手は傷だらけだが、王様は無傷で、ある程度儲かる。

 一番安い業者はどこや「出てこいやー」と通販サイト管理の王様が呼びかけ
世界の安売り猛者たちがギリギリの安売り合戦をサイト内で繰り広げる。
 王様はガッポリ儲ける。自分はもちろん傷つかない。選手からしてみれば
王様もリスクをとれやと言いたいが、絶対リングに上がることはない。

 さて、このような原理主義状態で、商品価格を上げるなんてことはできないの
が現実である。それでどうするのかというと、バブルよりずっと前の話だが小生
実家の会社でこういうことがあった。実家は川口の鋳造業の関連下請けの金属加工
業であるが、当時何かとガソリン代だのが上がってきて、値上げをしたいのだが
自分の会社が値上げをすれば、仕事が他社に流れる。じゃあどうしようと考えた。

 そこで同業者を集めて「○○業組合」を作った。その会合で「昨今、燃料代、
及び人件費の高騰により、誠に申し訳ないですが○○加工料金を1KGあたり
一律○○円アップさせていただくことをご了承いただきたく・・」という紙を作り
鋳造業者に配布した。組合に入らない業者は若干いたようだが、あらかたの業者
はこれに乗った。基本的にみんな一斉だから鋳造業者は認めざるを得ない。
ひどい話のようだが、当時景気が上向いていたので、鋳造業者も「ま、いいか」
のムードだった。これ「カルテル」とか言って今ならダメなことかもしれません。

 こうでもしない限り、値上げなんてできません。業者はすべて分断されてます
から。パソコン販売組合を作って、これからパソコンは1台あたり1万円を販売
責任手数料がかかります。などと・・できるわけがない。組合を作るなら全社
集めて入会させなくては意味がない。その程度の規模になれば、政治力からして
立派な利権団体になってしまう。これは必ずしもいいことではない。

 さて、組合で思い出したが、労働組合ってどうなってるの?分断されている労
働者をまとめて団体にして賃上げ、待遇改善させるための組織じゃなかったの?

 賃上げの言葉は安倍総理からしか聞こえてこない。ネットニュースでは、労働
者から組合費を沢山集めて、幹部はそのお金で豪邸で豪遊してるとか。よく分か
らないけど、会費を集める宗教団体とかこうした組合とか絶対上の方は贅沢三昧
だよね。お金を集める仕掛けができて、上の方が満足であれば、別に何か行動す
る必要はないわけで、この仕掛けを崩そうとする力が生じたときは猛反発する
というどこかの国のようなシステムなのでしょう。

 全体として、景気アップしなければ、賃上げはできないでしょう。そこで初めて
値上げ交渉・・いやいやムリだろう。原理主義をひっくり返し
 「一番すごい製品を持ってこいやー、金に糸目はつけねー!」という王様ならば
技術的にも大発展するはずだ。

 今、民間会社は景気はよくない、だったら国が仕事出すしかないでしょ。
やらなきゃならない仕事はいっぱいある。途切れた高速道路をつなぐとか、老朽化
した橋梁のメンテナンス、なんといっても夢のある宇宙開発、海洋開発、それこそ
世界の最高のスポーツ選手出てこいやーのオリンピックなど、ケチらずにじゃんじ
ゃんお金ぶち込んだ方がいいと思う、それが日本の建設会社に行くならそこからお
金が国内に還流するはず。ここで重要なのは外国の会社とか外国人にごっそり持っ
てかれるのだけは注意したほうがいい。