日本語最強説 究極の絵文字は人類に光をもたらすのか

 当社にも時折外国人のお客様がやってくる。インドだか、パキスタン、バングラディシュだか
分からないが、そっち方面の兄弟がやってきた。お兄さんは数年前から日本に来てるようで日本
語は普通にしゃべることができる。弟は、来日して日が浅く今のところ日本語はちょっと厳しい
ようであった。兄弟は何語か分からないが現地の言葉で会話しておった。ところがハードディス
クのデータコピー関係の話になったら、その兄弟急に英語で会話を始めた。小生、「あ、英語だ」
と気づいたが、同時にこう思った。おそらく現地の言葉で、コンピュータ技術に関する単語や語
彙が無いのであろう。兄弟とはいえ、技術的なことは英語にせざるを得ない。これはある意味
悲しいことである。インド人は以前イギリスに植民地にされていたので、英語が喋れるようだ。
 地方の温泉の大浴場に浸かっているとインド人らしき人もやってくる。仲間同士の会話が聞こ
えてくるとだいたい英語である。
 今度 台湾ですか?英語を公用語にしようとかの件があるそうな。

 前にも述べたが、日本語において文化、歴史が構築され、さらに外国からの技術文化など次々と
日本語化していった。カタカナとひらがなを作り、日本語にならない言葉はそのまんま表音カタ
カナにしてしまうという逞しさ。確かに日本語にならない言葉がある。パソコンではおなじみの
「フロッピーディスクをフォーマットする」ベテランパソコンユーザなら何度も使ったことのある
言葉だが、日本語に翻訳できない。そのままカタカナにしてしまった。外国の言葉も貪欲に日本語
の中に飲み込んでいく。したがって英語を勉強する必要がない(・・言い過ぎか!)元々漢字は
その姿を現す象形文字からやってきた。日本人はさらに分かりやすくするためスマホメールで多用
される絵文字を作ってしまった。この段階になると、すでに外国人でもその意味が分かるようにな
る。

 そして究極の絵文字が「マンガ」である。吹き出しの文字を少しだけ現地の言葉に変えてあげれ
ば世界中誰でも読むことができる。おそらく、メジャーなものからしょうもない同人誌マンガま
で含めば、日本はマンガの物量で他国を圧倒していることは間違いないだろう。小生の世代であ
れば、幼少期に「鉄腕アトム」、「鉄人28号」、青年期に「あしたのジョー」「空手バカ一代」
「巨人の星」、異様な印象の「アシュラ」「エコエコアザラク」、少年おバカ妄想の「ハレンチ
学園」など、一人の男を作り上げる段階で、これらのマンガが全く影響しなかったわけがない。

 たぶん、同世代なら、同様の文化基盤を共有していることであろう。小生よりも少し若い世代
は「ガンダム世代」と呼ばれている。マンガたるものは元はといえば週刊誌連載からやってくるの
で読者人気が無くなるとすぐに終了になるという、とても厳しい世界である。読者に迎合せず、
さらによい意味で読者を裏切る展開を毎週描き続けるのだからたいへんな仕事である。基本的に
日本のブラック産業の一つかもしれない。しかしながらこの劣悪な環境の中から生き残った作品
が堂々と日本文化の基盤の書のひとつになるのである。

 日本のマンガには、相手をおとしいれて、自分がヒーローになるようなストーリー・・これがな
い。最初はやられっぱなしでも、誇りと希望持って仲間と共に立ちあがる主人公。ここには人を恨
み続ける心のネジ曲がった主人公はいない。ここに共感できる日本人の国民性があるのだろうう。

 大量のマンガを世界に発信する。マンガ家という聖者に神が下りてきて預言をペンに載せて、誰
もが解説不要で読むことができる画を締切という悪魔に追いかけながら必死で狂ったように描きま
くる。緻密に構成され徹底的に書き込まれたおびただしい数のコマは書き込む時間の1000倍以
上の速さで読まれていく。この画を描く努力のおかげで難解なる聖書やコーランを解説する宗教学
者や僧侶のようないかがわしい連中は不要なのである。やがて聖書とコーランを駆逐する日がくる
かもしれない。

 神から聴いた言葉を伝えることを預言というが、結局はその人間の思いつきである。人間の自由
で健康的な活動を縛るような書物やイデオロギー、不要であれば日本人はいとも簡単に排泄してし
まう。