年下の天皇陛下

 天皇陛下 御即位おめでとうございます。物心ついたときから、小生の知っている陛下は
自分より年上だった。仕事の関係で、客先の事務所に訪問すると、壁に皇室カレンダー
が掛けれていることがある。ページをめくれば皇室の家族の写真(上皇陛下と新天皇陛下)、
 どのページも穏やかに優しく微笑まれている。見ているだけでこちらも癒やされるような
気分になる。

 不敬なる戦後教育で育った小生にしてみれば、この天皇陛下という存在が、おそらく戦前
の日本人とは異なる感覚を持っているかもしれない。陛下を頂点として日本は一家であると
いう、すなわち国体(國軆)という考え方、これが理解不能。しかし陛下なくして日本国な
しは十分に分かる。これでいいのかもしれない。もし、我が国に皇室がなければ、日本国は
その辺のどっかの国とおなじか、あるいは経済的理由で人や企業が集まった単なる地域の名
前にに過ぎないことになる。そう考えると、皇室並びに天皇陛下という存在はやはり日本が
日本であることの必須条件といえるだろう。

 これまで陛下(上皇陛下)は被災地に出向き、膝を折って被災者と向き合い励ましの言葉を
かけてきた。「大変でしたね・・」と被災者の苦しみを自分のものとして共感する。問題を
解決するのではない。共感するのである。解決することのできない問題で苦しんでいるとき
に欲しいのは共感しかないのかもしれない。家族を失ったこれ以上ない悲しみを癒やす最後
の手段なのだろう。
 日本国中の悲しみ苦しみを一手に引き受けてきた上皇陛下の体内にはどれほどのものがた
まっているのかと思うと、あらためてその大きさを感じぜざるを得ない。

 生前御譲位に関するテレビで述べられたことに、昭和天皇の崩御の際、喪に服するために
様々な自粛により経済活動が停滞したことをご心配なさっていた。現在、経済は停滞してい
る。さらに今年は消費税率を10%にしてさらに景気を後退させる可能性が出てきた。現在
の令和改元 お祭りムードから考えると、この生前譲位は陛下の一世一代の景気浮揚作かも
しれない。陛下は基本的に政治的意見は述べない。しかし、この生前譲位の意味する事は
「朕は消費税増税に反対である。」ということではないでしょうか?時期から考えてみても実
に符合する。

 不敬なる小生としては上皇陛下は、自分を暖かく見守ってくれる優しい親戚のおじさんの
ようであった。さて、皇太子殿下が新天皇陛下になられた。小生から見れば年下の陛下であ
る。もう暖かく見守ってくれる優しいおじさんではない。しかしながら、小生とは数才差な
ので小さいころからメディアを通して顔なじみであり、そういう意味では逆に小生が親戚の
おじさんのような気持ちで新天皇陛下をほほえましく応援したい。あるいは「彼は本当に信
頼できる立派な人間だ。間違いなく親友になれるだろう。」という同輩的な親しみもある。

 取引先の社長が引退し、その息子が会社を引き継ぐケースがある。先代社長には叱咤で社
会やビジネスの厳しさをたたき込まれることや、心折れそうな自分に温かい励ましで救われ
人の心の優しさに涙することもあった。すべては生きた社会勉強となり、自分のものとなっ
ていった。そして、今度はその息子、あの先代の息子だから、当然だけどオレよりはちゃん
としてるな。そう思う。

 上皇陛下の背中を見てきた新天皇陛下、令和が幸せで明るい時代になることは間違いある
まい。