俳優の古谷一行氏が亡くなった。ご冥福を祈る。 氏の代表作といえば「金田一耕助シリーズ」やその他色々あるが、それほどドラマも映画も舞台もあまり見ない小生としては、テレビドラマの「失楽園」が何よりも印象的であった。当時、役所広司氏と黒木瞳さんの映画版も大ヒットしたが、テレビ版はそれに負けじと放送コード限界まで表現するのだと気合がはいった映像がすばらしかったのである。 医者なのにエロ小説家の渡辺淳一氏の作品である。究極の愛に溺れ、現実の家庭と幸せをかなぐり捨て、死に向かって真っすぐに突き進んでいく、美しくも悲しい物語。なんといっても相手役の未亡人を演じた川島なお美さんは目鼻立ちのくっきりした美貌、どうしようもないほどのエロ過ぎる姿態から表現される映像、その色香が滝のように画面からあふれ出てくるのであった。 残念なことに彼女は54歳の若さで亡くなってしまった。美人薄命という言葉があるが、本当に残念である。古くはマリリン・モンロー、夏目雅子、飯島愛など往時の笑顔を思い出すたびに切なくなる。 さて、このドラマは地デジ以前で、録画もVHSテープ時代である。今考えてみれば、画質も今とは比べるべくもない。当時、結婚したばかりの妻と一緒に楽しんでいたのだが、あるシーンで妻が「うわぁ!」と声を上げたのである。「うわぁ、みのさん!」 そのシーンはたしか古谷一行の妻を強引に抱き寄せ、関係を迫ろうとする場面であった。この女優十朱幸代の相手役俳優はみのもんた氏。わが妻はまるで汚いものでも見るような視線でみのもんた氏を見ていたようだ。 今どきの言葉でいえば「キモイ」画に映ったのだろう。男の自分にはよくわからないが、女性から見るとそう見えたのかもしれない。 その反応が正しいとすれば、監督は女性視聴者に「うわぁ!」と言わせるいい画を撮ったといえよう。 たしかに、ドラマでも映画でもそうだが、美男美女の俳優を見たいのである。確かに当時の古谷一行と川島なお美は紛れもなく美男美女であり、その絡みも美しい。最近の流行でLGBTとかBLMとかの運動があるがそんなものはクソくらえだ。いちいち言わなくたって、マツコ・デラックスさんやイッコーさんたちは「どんだけー」テレビにでているのでしょうか?しかも大人気で皆さんからも愛されている。最近ハリウッド映画はサッパリで往時の栄光はない。へんな力で美男美女の俳優を使うことにためらいがあるのだろう。男女比をそろえ、黒人やアジア人のバランスをとり、さらに中国資本が入って自由な表現を捻じ曲げる。こんなことをやっていたら魅力的な作品なんかできるわけがない。ディスニーアニメだって最近は変だ。さらには外国の先端企業のCMも、どうしてこのモデル?と思わせるのものもある。 マリリン・モンロー、エリザベス・テイラー、ジェームス・ディーン、クラーク・ゲーブル、など圧倒的な美男美女。作品のストーリーは大事かもしれないが、金ををはらってまで見たいのは美男美女なのである。 今頃、天国では「失楽園」のその後が始まっていることだろう。 「ずいぶん待たせて、ごめんね。」 「もう待ちくたびれたわ、でもここには、大好きなワインが飲み放題なのよ。こうして二人で乾杯できる日をどんなに待ちわびたか・・ 久しぶりに乾杯しましょ。」 ワイングラスで乾杯した二つの魂は一つに溶け合い、グラスの透き通った響きの中で、更なる高みに昇華して逝く。 合掌 |