人生最後のスピーカ製作か その4

 ご覧のように外観はなかなかの挑発的なルックスとなった。正面からはバックロードホーンの開口部は見えないのですっきりしている。正面に開口部のあるバックロードホーンの場合前にも述べたがホーン奥からの不快なゴーゴー音が生じるが、本機ではそれがない。また長年使用すれば必ずホーン開口部にホコリや汚れが蓄積する。つまり不快なものを目にしてしまうということだ。本機にはそれがないのも大きなメリットである。ツイータとウーファー両方のホーンが上下に重なったルックスはまさにオールホーンとなり、オーディオ好き老人のハートをムラムラさせる。ウーファーのショートホーンは45度で奥行きも短い。こんなものが効果があるのかどうか・・とりあえずルックスがそれなりならまあいいのではないか。韓国の女性アイドルグループが短パンをはいているのにその上にやたら短いスカートでクネクネ踊っている、そのスカートをはいている意味があるのか問うことは無粋というものだ。

 さて、音出しである。本来はカンカン音しか出ないであろうE120-8はバックロードホーンの効果は完璧に効いており、想定以上の低音が再生できている。高音用ドライバも大まかにレベル調整し、だいたいの水準となった。お気に入りのCDとして「MARI NAKAMOTO III」をかけてみる。最初のすごいベースの音から始まる。音の基準は自宅に在る前に述べたKing Cobraとの比較になる、38cmの130A,375ドライバと比較してユニットのコーン紙口径こそ小さいが磁気回路は同等以上なので音もそのレベルを求めてしまう。低音に関しては全く遜色なかったことに驚く、全体としては「まあ、まずまずかな」という感想と、ウームまだ何かが足りない。今回はアルテックA7のミニ版のような2ウェイ構成である。磁気回路、駆動系ははるかにA7を上回っている。極小バックチャンバーと拡大率の低いホーン構成で非常に応答の良い低音がズシンと出ている。予想外だったのは比較的小音量でもロードがしっかり効いてるようで低音もやせない。低域の伸びはA7に勝っているだろう。極小バックチャンバーの効果、してやったりということだ。中高域はギラついているように感じる。2445Jというドライバは375のアルミに対してチタンダイヤフラムで高域特性を改善していると言われている。従って2ウェイでも十分というはずなのだが、この2380というホーンらしくない回折ホーンがいまいちなのかという疑念。カタログ表記では20000Hzまで出ることになってるが、実際の周波数特性は12000Hzくらいまでの限界だろう、これでも十分なはずだが・・・ウーム、マニアの病気が再発し始めたのか。表現として中高域がギラついている感じで、つまり中音が厚かましいのである。例えるならば「つつしみ」という概念のないラテン系のカリプソ女がマイクに噛みつかんばかりに声をぶち込んで、それをそのまま露骨に再生してるかのようなのだ。ディスコのPA用スピーカによく採用されてるタイプのホーンで、無遠慮に音をグイグイ押し付けてくる感じ、もちろんPAにはそれが大事なのだが、軽井沢の別荘でショパンを引いている深窓の令嬢をもとめているわけではないが、求めているのは爽やかでスカーッとした音、つまり北川景子にしたいのである。このスカーッが足りないということが分かっている。中音の厚み、エネルギーだけで良しとできないのが病気たるゆえんであろう。何が足りないかはわかっている、スカーッを出すためには上質でドライバに負けないホーンツイータである。北川景子のまぶたにラメが入ったら・・そりゃあもう ということになるはずだ。あらあら、足が沼にはまったようだ。測定器もなくあてずっぽうの箱で何を言っているのかとバカにするかもしれない。しかしバイオリンの名器を作成したストラディバリはオシロスコープで測定しながら板を削っていたわけではないだろうという生意気な屁理屈を垂れて開き直る。


高さ1メートル、幅49センチ。このクラスとしてはまあまあ、コンパクトな方だろう。



上に中高音用ユニットを乗せる。アルテックA7のような2ウェイ構成で見てくれはいいのだが・・

ちなみに板材はシナのランバーコア、水性ウレタンニスの刷毛塗り。塗りに部分的にムラができてしまったが、まあいいやと開き直る。板そのものはかなり柔らかいという印象。